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最近工房見学にはまっている、トンカチワークスのたむです。

先日訪ねたのは、伝統的な技術でヤカンを作り続ける、新潟県燕市の”玉川堂(ギョクセンドウ)”燕本店。金属を加工して作られた玉川堂の製品はどれも味わい深く、製品を観た人は作られた工程が気になるはず。

今回はそんな製品を作っている工房の様子をご紹介します。

 

 

 

玉川堂とは

 

玉川堂(ギョクセンドウ)は、「鎚起銅器(ついきどうき)」を作り続けて昨年200周年を迎えた老舗企業です。

テレビなどメディアでの特集が組まれることも多い企業なので、ご存知の方もいるかもしれません。

玉川堂が継承してきた“鎚起(ついき)”というのは金属を金槌で打って立体に成形する技術です。叩いて形成するので、包丁や刀などを作る「鍛治」の技術にも似ています。

 

 

歴史を感じさせる外観

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上越新幹線「燕三条駅」から車で数分。ひときわ歴史を感じる建物に、「玉川堂」の看板があるのが見えました。

 

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こちらの工房は、登録有形文化財に指定されています。外観や門から覗く日本庭園に目を奪われて、門をくぐる前からついつい写真撮影に夢中になってしまいます。

 

 

熟練の勘で一枚の銅板から形造られる

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見学の最初に案内されるのは、熟練の職人さん達が各々、金槌で銅を叩いて形成する部屋。広く天井の高い部屋一面に畳が敷かれています。

 

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それぞれの職人さんは、このようなたくさんの穴が空いた切り株の上に座って作業します。穴に刺さっているのは、「鳥口」という型のような役割をする道具です。

 

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最初は一枚の平らな銅板。それを「鳥口」に当てて、金槌で叩いていきます。100種類以上ある「鳥口」を取り換えながら、少しずつ銅板を叩いて絞り、ヤカンなど製品の形にしていきます。

 

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こちらは成形の流れが分かるサンプル群です。
ヤカンを作る場合、写真左下のような平らな銅板に徐々に深さをつけ、そそぎ口を成形しながら上面をすぼめていきます。

 

ひとつひとつ、職人さんの感覚で形成していくため、形成作業は熟練の職人さん達の仕事になります。
この後の工程では、若い職人さん達が活躍していました。

 

 

年季の入った道具と若い職人

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次の部屋で行われていたのは、着色の工程です。

 

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薬液に漬けての煮沸、焼き付け、磨きを組み合わせることで、様々な色や表情を表現します。

 

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こちらの桶はベテランの職人さんが勤め始めた頃には既にあったそう。薬剤の色が染み付いています。

 

 

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天井も随分と年季が入っていました。ススで黒ずんで薄暗く、吹き抜けの天井がますます高く感じられます。

 

 

着色用の鍋のある部屋の横では、大勢で磨きの作業をしていました。こちらでは20代位の若い職人さんが目立ちます。

玉川堂は、就業時間後に職人に工房を解放したり、職人個人の作家活動も支持しているそうです。そのような背景もあってか、近年就職希望者は毎年数十名にのぼるそう。会社側も積極的に若い職人を採用して、アイディアを取り入れています。

 

 

玉川堂のトレードマーク、”大鎚目”

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最後に、小さな庭の見える部屋でお茶をいただきました。
こちらでカタログや完成された製品を見ることができます。

 

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玉川堂は「大鎚目」と呼ばれる金槌で叩いた細かな模様をブランドイメージとして多く取り入れています。

 

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小さなサイズの鎚目が全面に並んだ作品もあれば、そこに大きな鎚目をリズム良く配置した作品もあります。

 

 

昔も今も、人の手がかかっているものに価値を感じる

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そんな中に、まん丸のつやつやとしたヤカンが置いてありました。大槌目のように、職人の打ち込んだ形跡が見られない作品です。

「これは鎚目をひとつひとつ削って、鏡面仕上げにしているんですよ。」

まるで機械で量産されたようなつるりとしたこのヤカンは、鎚起銅器の高級品。
昔は今のような機械が無かったから、時間をかけて作っていることが分かったそうです。

 

 

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私たちは無意識のうちに、作った人の労力を測って、価値を感じている。そう実感した体験でした。

 

 

工場見学について

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玉川堂燕本店のある燕三条エリアは鉄鋼業の街として有名で、毎年10月には「工場(こうば)の祭典」という、様々な工場が解放されて見学が出来るイベントが行なわれています。

玉川堂燕本店もこちらのイベントに参加されていますが、この期間中ですと何百人と人が押し寄せるそうです。私たちのようにじっくり見学したい方は、イベントを外して訪問することをおすすめします。営業時間であればいつでも見学者を受け入れているそうです。
玉川堂ホームページ

 

 

おわりに

30分ほどの見学を経て、もっと知りたいという欲求が出てきました。是非商品を購入したいところですがその予算もなく・・代わりに購入したのが燕市の発行する図録「鎚起銅器」。日本や燕の金工の歴史から、職人の系譜、魅力的な写真が満載の技法の説明などが収録されています。

こちらを読んでますます関心が強まり、また見学に行きたくなるのでした。

すけ_キラーン

 

是非次はヤカンも購入したいね!

 

 

 

次回紹介する工房は・・

 

この後、お隣三条市のSUWADAの爪切り工場に見学に行ったので、来月8月はそちらのレビューを書きたいと思います。
玉川堂さんの工房とはまた打って変わって、大型の産業機械やモダンな見せ方がかっこいい工場でした。

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すけ_真顔

 

それでは、今日も読んでくれてありがとう!