立花テキスタイル研究所 見学

広島県・尾道から愛媛県・今治を繋ぐ海の道、しまなみ海道。その行程で通る1つ目の島が、向島です。
この島に帆布製品を扱う工房兼ショップがあるということで、今回の旅の最初に立ち寄ることにしました。

地元尾道の資源を使って染め上げた、素朴な色合いが魅力です。

 

スポンサードリンク

 

 

用水路沿いの小さなお店

尾道から向島の船着場に着くと、船から降りる人々を待つタクシーが何台か停まっています。私たちが船から降りて地図をぐるぐると回しながらにらめっこをしていると、そのタクシーの中の一台が声をかけてくれました。

「テキスタイル研究所…?あぁ…場所も建物も分かりづらいだろうなぁ。何て説明すればいいんだろう。掘っ建て小屋みたいな建物だよ」

タクシーのおじさんの言う通り、地図と実際の道とを何度も見合わせて、やっと見つけたのがこちらの建物。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

半分をツタに覆われた建物に大きく書かれた「尾道帆布株式会社」の文字。その看板の下に小さく出ていたのが、「立花テキスタイル研究所」。
この2つの会社は同じ建物の中にあり、漆喰の壁で隔てられていました。

 

ショップ兼事務所の店内

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

奥がショップ、手前側が事務所。

什器として使われている家具はどれも大分年季が入っていますが、そこに飾られている作られたばかりの帆布の商品も、ずっと一緒にいたかのように自然と馴染んでいます。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

上の写真の鏡に映っていたしっぽの持ち主は、このお店の看板犬のきなこちゃん。とても人懐っこく、カメラを向けようとして屈むとすぐに近づいてきました。

 

織り機

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

カウンター横には大きな織り機が置かれています。

こちらは展示品だそうですが、同じものが神奈川の作家さんのところにあり、生地の生産過程で余った糸で、商品となるコースターなどを作っているそうです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

さり気なく尾道を彷彿させる商品

  • tachitexTX0133IMG80
  • tachitexTX0134IMG80

立花テキスタイル研究所HPより

商品はシンプルな形ながら、港町ならではのモチーフがあります

横幅の長いトートバッグは、ボートをイメージした「ボートバッグ」。丸底のトートバッグは「バケツバッグ」。海に浮かぶブイをイメージした「ブイトート」など。
形もネーミングも、どこかちょっと間が抜けているようで可愛らしい。

こちらの商品に使われている帆布は機械で織られているもので、とてもしっかりとした作りになっています。

 

染めに地元の「いらないもの」を使う

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「尾道ならでは」なのは、モチーフだけではありません。
原料である綿を自社栽培し、染めの原料に地元に所縁のある資材、特に一般的にいらないとされている物を使っています

ただ帆布で何かを作ろう、ではなく、研究所の方々の原料に対する疑問と探求から生まれた商品。
ホームページに書かれていた以下の文が印象に残ります。

私たちの目指すのは、「不用とされるもの」を「資源」に読み直すモノづくりです。
鉄鋼所から廃棄される鉄粉、家具屋さんや農家さんから出る木っ端、牡蠣の殻、年々増えていく耕作放棄地。
一度は見放されたものたちを、染色技術を通してもう一度「資源」として捉え直したい。
私たちはそう考えています。

 

商品の色は5種類。ワタ染め・鉄粉プリントなど、染め方で色が違います
ここでは関連写真が撮れた、「藍染」「渋柿」「渋柿鉄媒染」の3種類を見てみましょう。

 

藍染

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ショップの表に、染色の作業場があります。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらは藍染の途中の糸。この後も何度も浸けては乾燥させ、最終的に瀬戸内海をイメージした鮮やかな青色に染め上げていきます。
立花テキスタイル研究所では、古くからある藍染の方法である「発酵建て」で染色しており、微生物の発酵によって色付きます

下は藍染用の壷。こちらに微生物の餌が入っています。

 

柿渋

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらの写真は柿渋で染められた製品。

尾道(備後地方)の柿渋はかつて、京都の山城・岐阜の美濃と並ぶ柿渋産地だったそうです。時代とともに衰退した尾道の柿渋ですが、もう一度復興させようという動きが高まっています。その柿渋を使い、何度も繰り返し染められたものです。

革のように、色の変化や色落ちなどの経年変化が楽しめるそう。

 

柿渋鉄媒染

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらは先程のように柿渋で染めた後、更に鉄媒染して黒く染め上げた製品。

媒染液には造船所から出た鉄の粉が混ぜられています。

柿渋だけのものよりも更にムラが出ていて、染めに奥行きが感じられます。
使ううちに色落ちし、地の柿渋の茶色がチラチラと見えてくるそう。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この2つの製品は、自分たちのお土産として買って帰りました。どのように経年変化するのか、とても楽しみです。

立花テキスタイル研究所の製品は、お店まで行けない方も下記ページから購入できます。

 

 

お店の情報

お店 立花テキスタイル研究所
住所 〒722-0062 広島県尾道市向東町1247
電話 0848-45-2319
HP https://tachitex.com/
定休日 日曜日、月曜日、年末年始 (イベント等により臨時休業あり)
営業時間 10:00〜17:30

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

お店で色々教えてくれたスタッフの齋藤さん

ショップの他に、糸紡ぎや織物・植物染めなどのワークショップも行われています。詳しくは下記ページをご覧ください。

 

 

おわりに

お店の中に入って一番に惹かれたのは、帆布製品のその深い色味でした。その色の由来を調べていくうちに、地域のもの、そこで失われたものを活かせないかという研究所の人々の想いから生まれた色だということを知りました。素朴だけれど惹かれる色には、同じくらい深いストーリーがあるものなのかもしれない。そんな風に感じて、私も何か信念のあるものづくりが出来る人になりたいなぁなんて思うのでした。

 

冬_すけ2

 

今日も読んでくれてありがとう!