「こんな世の中にしたい」「こんな会社にしたい」「こんな風に生きていきたい」etc… 理想があってそれに向かっていく人って素敵ですよね。
私自身はそういう「自分が追いかけられる理想」自体を探している途中なのですが、先日そんなことを考えている折りに、ヒントになりそうな本に出会いました。
「優れたリーダーはみな小心者である。」という、(株)ブリヂストンの元CEO 荒川詔四さんが書かれた本です。
タイトル通りリーダー論としても優れた本だと思うのですが、「自分の道は自分で決めて進む」という生き方の見本のような方の本なので、企業などの大きな組織に属していない私にとってもすごく刺激になりました。
今日はそちらの感想を残しておこうと思います。
読み始めたきっかけ
上昇志向(負けず嫌い)が強すぎることに悩んでネットで解決策を探していた時に、この本の著者が書かれた記事に辿り着きました。
ここには自分自身が悩んで痛いほど実感している「上昇志向が強すぎる」ことの弊害が書かれていて、それを解決するヒントになりそうなことも書かれていました。
何よりも記事を読んでいて、本を読んでもっと著者の人格に触れてみたいという気持ちになり、今回の本を読み始めました。
読書ノート
今回は折々に見返したい文章の引用ページと、気になった部分の考察ページを作りました。
▲ 引用ノート
ここだけ見ると色々なビジネス本から寄せ集めた名言集のようですが、ほぼ全て著者の体験談として書かれています。
本の概要
著者の新人時代からの経験と、それを踏まえた「リーダーに必要なこと」が書かれています。
特に新人時代からタイやトルコ、中近東など様々な国で現場の責任者として様々な問題に取り組んできた方だから、文化(考え方)の違いに悩んだり、現場と本社の板挟みで苦しんだりと、体験談だけでも興味深いものがあります。
また、どの章にも書き留めておきたい名言がたくさんあるので読んでいるとポストイットだらけになってしまったのですが、それでもこの本全体に一本筋の通った考えが貫かれているので、著者の言っていることにものすごい説得力がありました。
書き留めておくべきことは山ほどあるのですが、全体の核になる部分だけ概要を書いておきます。
小心者とは?
本のタイトルにもある”小心者”。
繊細・心配性・臆病・慎重、などといった意味合いがあります。
臆病で小心者だからこそ最悪な事態を想定して行動できる。繊細で小さなことに気づけるからこそ、社員の様子を観察して気遣うことができる。
そういった面で、リーダーは小心者だからこそ務まるというお話でした。
(ちなみに・・・小心者というと、上記の他に「気が小さい(ストレス耐性が低い)」という意味合いが強くあると思うのですが、そう言う意味では著者は真逆の方だと思います。なので、「小心者」よりも「内向的」のような単語を使った方が誤解を生みにくいんじゃないのかな…というのがこの本の中で唯一疑問に思ったところです。)
リーダーとは?
リーダーというのは、この方のように会社の社長や役職のついた立場や、何かの目的をこなす組織のリーダーという意味でもあり、自分が自分自身に責任を持つ「オーナーシップ」という意味も含まれています。
そもそも著者の言うリーダーはオーナーシップの延長線上にあるように感じました。
そういう意味で、「リーダー」という役名の付く人だけでなく、全ての人が理想を追い求める時に大切になる考え方が書かれていると思います。
リーダーに必要な要素は?
本のタイトルにも入っている”小心者”もリーダーには必要不可欠ですが、何よりもやはり”夢を描く力”が必要なんだと感じました。
大きなキャンバスに魅力的な夢(下絵やアタリ)を描いて部下の想像力を掻き立て、部下がその想像力で実際に絵を描くのをサポートする、それがリーダーの役割。
ただそのためには土壌づくりが必要で、その時にリーダーには繊細で小心な面が必要不可欠なのだと感じました。
▲ 部下に支えられるのではなく支えるリーダー像
人格者を目指すなら、目的達成に集中すること
少しおまけ的な内容になりますが、「合目的的」という言葉と考え方も印象に残りました。「(組織などの)目的に合うように行動する」ということです。
人格者でもない人が人格者の表面上の真似をしてみてもボロが出る、という箇所があって、私自身経験済みなのですごく納得しました^^;
自分の感情を優先せず、常に「合目的的」であることに集中する。そうすると、人格者まで行かなくても、そりが合わない人ともそれなりに上手く働ける、というものです。
自分の感情や性格そのものを変えようとしても、なかなか変わらないものです。そこから俯瞰した、「目的」という位置から相手を見てみると、見方が変わってくる。更に言うと、そこから自分の感情も変わっていくし、相手側から見た視野も手に入れられて、より広い視野が手に入るのだと思います。
感想
私自身はあまりリーダーになるようなタイプではないのですが、思い返せば、私生活でも仕事でも、今までにリーダーシップが必要なことが多々ありました。
そんな時にうまく立ち回ることができなかったのですが、あれから経験を積んだりこの本を読んだりしたことで、今後また必要な時に少しリーダーらしい行動ができるんじゃないかと思います。
家庭の中でも、例えば家計を任されているのなら、その役割の中でリーダーシップを発揮する機会も出てきます。
そういう意味で、企業に勤めていなくてもとても参考になる本だと思います。
上昇志向が強すぎる時は・・・
元々、「上昇志向が強すぎてしんどい・上手くいかない」という理由から解決の糸口探しに読んだ本なので、最後にその感想を。
この本からだけの感想ではなく、色々考えた上で現時点での結論ですが・・・上昇志向が強いのは、他者との比較や社会観念の中で「上昇したい」という感情に囚われている状態で、でもその感情に乗っかっていかないと頑張れない状態なのだと思います。
つまり、自分で追いかけたい夢が描けないから、上昇志向に頼るしか無い。ただ、上昇志向には限界や様々な弱点がある。だからやっぱり、自分自身で自分の夢(実現させたい未来)を描けるようになるしか無いのだと思いました。
この本は、夢を描いた後にそれをリーダーとして実現させる方法が詳しく書かれていますが、夢を描くまでのヒントもあちこちに散らばっているように感じました。
おわりに
たくさんの人におすすめしたい本なのですが、私が紹介したところで魅力が伝わりづらいと思います。
この本は著者の言葉から著者の魂に触れることに価値があると思うので、読もうかどうか迷っている方は是非、この記事の最初でも紹介した著者が書かれた記事を読んでみてください^^
(特に後半にかけての部分がおすすめです。)
私も一歩成長した時にまたこの本を読み返したいと思います。
今日も読んでくれてありがとう!
今日紹介した本